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【実話怪談】怪異ドライブ前編【怖い話】

夏なので私の恐ろしい実体験のひとつを書いてみる。

私は妙なものを視ることがある。それが幽霊なのか何なのかわからないけど、

母方の曽祖父が神主をしていることが影響しているのか、私の母も何度か怖い体験をしたことがあるそうだ。

今回は私が体験した出来事の中でも特に不思議だった出来事を紹介したい。

少し長くなるので前編と後編に分けて書いてみる。読んでいただければ幸いです。

 

怪異ドライブ

 

母が当時大学生だった私をドライブに誘った。

予定のなかった私は、なんとはなしにOKした。ドライブといってもこれといった目的があるわけでない。話の流れでS県H市からC市方面へと続く国道を走ることにした。

 

運転手は私。母は助手席に乗り込んだ。

H市からC市までは車で1時間半ほどかかる。

夕方の用事までの微妙な時間を潰したかった私たちは、「今回はC市到着を目指さずに適当なところで引き返そう」ということにした。

 

セダンは快調に田舎道を走る。人家もちらほらあるのだが、左右に山際が迫っていて

樹木の濃い緑が目に優しい。カーブしたガードレールの向こうには清流が流れていて、何人か釣り人もいたと思う。窓から心地いい風が吹き込んでくる。深呼吸をした。

 

ふと車内が暗転した。トンネルに入ったのだ。車内に排気ガスが忍び込んでくる。

一気に不快になって急いで窓を閉める。

C市へ向かう道中には、いくつかのトンネルがある。

ほとんどは車なら数十秒で通過してしまうほどの小さなトンネルなのだが、H市とC市の市境付近にあるトンネルだけは1㎞以上に渡って長い。気がつけば、Sトンネルの近くまでやってきていた。

私「もうSトンネルか。どうする?これ以上行くと戻るの大変だよね?」

母「そうだね。あーそういえば、S峠って最近行ってないよね」

私「ああ…。どんな場所だったか全然覚えてないわ」

母「30分くらいで頂上までいけると思う。行ってみる?」

私「うん」

 

Sトンネル入り口手前を右折してS峠に入った。

道は一気に細くなったが舗装はされていた。左手はがけ下へと続く急斜面、右手には落石防止ネット付きの岩盤が迫っている。

急カーブが連続するS峠はいわゆる「走り屋」のメッカとして有名だ。

事故も多いと聞く。車幅に気を配りながら細かくハンドルを切り、ゆっくりとアクセルに足を落とす。

坂道をしばらく上っていくと左手斜面側がなだらかな傾斜に変わり、いくつかの人家が見えてきた。

私「こんなところに家があるんだな」

母「スーパーとかコンビニに行くのも大変だよね」

人家は車道に接するように建っているものが多く、窓や庭先の様子がよく伺える。そして、ぼろぼろの物置のような建物が見えてきた。

その建物はとても危うい構造をしていた。がけ下から4本の柱が伸びていて長さは10mほど。柱は錆びついた鉄筋の骨組みと金属製の床を支えている。金属の床は体重を預けるように車道へ乗っかっていた。

その床の上に建物があるのだ。建物前面には入口を塞ぐようにして裂け目のないガードレールと錆びた網状のフェンスが建てられている。しかし、扉やシャッターのようなものはなく、内部の様子を正面から確認できそうだった。スピードを緩めながら、なんとなく覗いてみる。

中には1台の車が入っていた。大きめのバン。後部には黒いカバーがかけられている。この建物は車庫だったのだ。しかし、フェンスとガードレールで閉ざされた状態でどうやって車を出すのだろう。異様な光景だった。助手席側に乗り出して目を凝らす。

さらに妙なことに気が付いた。

シートに覆われた車の後部に何か白いものが取り付けられている。

真っ白な顔に赤と黒で描かれた吊り上がった目と口。それは狐のお面だった。

思わず声が出た。

 

私「…え?あの車後ろのところに狐のお面がついてんだけど…」

母「え?…あっ!ほんとだ…」

母も異様な光景にくぎ付けになっている。

私「…なんかのおまじないとか?」

母「…あんまり近寄らないほうがいいよ。…早くいこ」

固く閉ざされた車庫とバン、そして白狐のお面。

記録したい気持ちもあったが、写真を撮るような気分にはなれなかった。怪しい儀式か何かにも見えたが、なんとなく何かを遠ざけるために作られた物のように感じた。

 

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